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レポート|ダンスを愉しむ時間

2019.10.14

2019年10月14日(月・祝)
ダンスを愉しむ時間

ナビゲーター:福角宣弘(車椅子ダンサー)、西岡樹里(ダンサー)

イラスト:首藤美幸

踊ることは誰にでも開かれているし、さまざまな体を持ち寄れば、ダンスはもっと楽しくなる。そんな思いで開催されたダンスワークショップに10人が参加。参加者のなかには、ダンサーをはじめ、障害者の「自立訓練事業」を進めるエコール神戸に通う学生、車椅子の女性の姿も。

このワークショップに参加しながら、同時に現場をスケッチいただいた首藤美幸さんの絵とともに、当日の様子を振り返ります。

まずは自己紹介がわりにナビゲーターのふたりがダンスを披露しました。

輪になってふたりのダンスを見ていた参加者たちも手を引かれ、誘われるようにして次々とダンスに参加。これには「こんなにも、みなさんがするすると軽やかに踊ってくれるとは思いませんでした」と西岡樹里さんも驚いた様子。

自己紹介に続いてはストレッチ。ひとりずつ自己流のストレッチを提案して、それをみんなでマネしながら全員分のストレッチを体験しました。背泳ぎのように手を後ろに回したり、座ったままお尻だけで前へ進んだり、オリジナルな動作が次々と出てきました。

そして、ウォーミングアップとなる「ティッシュダンス」へ。

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最初は輪になって、隣りの人へ手を使わずにティッシュペーパーを受け渡していきます。落とさないように肘から頭へ、背中から顔へ、だんだん大胆になってきて、足の裏から足の甲へ、肘の裏からお腹へ、といろんなパターンが生まれました。そして、ひとり1枚渡されたたティッシュを自由に誰かと交換。ふわふわと頼りないティッシュペーパーを相手にしていると、自然と踊りのような動作が始まります。

ティッシュで相手の体の輪郭をなぞったりもしながら、最後は、ナビゲーターの福ちゃん(福角宣弘)の体に全員分のティッシュペーパーを預けて、ティッシュダンスは終了しました。ティッシュまみれの福ちゃんにみんなで拍手。

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続いては、手に持った見えないモノをそれぞれが頭に思い描きながら、隣りの人へと受け渡していくというワークショップ。

想像上のモノをいかに体で表現して周りの人に伝えることができるか。そのモノを広げたり、のばしたり、こねたり、担いだり、投げつけたりしながら、最後はまた福ちゃんへ。みんなの頭で自由に形を変えてきたソレを飲みこんで吐き出して終了です。

頭に描くモノを伝える行為はパントマイムのようですが、その想像上のモノからそれを懸命につくりだしている目の前の人へといつの間にか興味の対象が移っていました。繊細に伝える人だなとか、大胆に動く人だなとか。

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ふたり組のダンス、その名も「ゆっくりジェットコースター」は、目をつぶっている相手を手のひらだけで誘導して、室内を自由に散歩させるというものふたりで向き合って手を合わせ、ゆっくりと3回呼吸をあわせてからスタート。

相手にどれだけ自分を委ねることができるか。リードする側は、相手の不安や気持ちを感じとるために、合わせた手のひらの些細なリアクションに神経を集中します。

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意外とむずかしいのは、合わせた手のひらを離さないでいること。早すぎたり急に動かしたりしては、目をつぶっているほうが対応できません。最後はふたりとも目を開けて、あうんの呼吸でリーダーを随時替えながら動くことに。

ただ歩くだけではなく、飛びあがったり、寝転がったりとだんだんと動きが大胆になる組も多くて、ついていくほうも大変。

休憩をはさんで「福ちゃんゲーム」は、「1」「2」「3」と順番に数字を声に出して、発声と同時にひとつ動くというゲーム。数字を告げる声が誰かと重なると失敗で、また始めからやり直します。

「だるまさんがころんだ」のようにみんなが静止したなかで、間合いをはかりつつ動こうとするのですが、最初のうちは「1」「2」といったくらいで、すぐに声が重なって失敗。ところが、続けるうちにだんだんと「10」くらいまで進めるようになります。ただ1歩前に歩くのではない、さまざまなポーズによる動きも出てきました。

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この日の最後は「まねダンス」。ふたり組になって、とにかくひとりは相手の動きをマネして動きます。

どんどん激しい動きになっていくペアも現れたところで、それぞれの組の動きを順々にみんなで鑑賞しました。この日のラストは、福ちゃんの動きをみんなでマネて終了です。

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自分ひとりでは決して生まれない、いろんな体、いろんな動きを自分なりに変換しながら取り入れて、動いてみることは、ただ動きの幅が広がるというだけでなく、目の前にいる人の理解にもつながっていました。言葉を介するのとはまた違った相互理解にも道を開いたワークショップの時間となりました。

CoreMember

福角宣弘

西岡樹里

撮影:阪下滉成

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障がいの有無、経済環境や家庭環境、国籍、性別など、一人一人の差異を優劣という物差しではなく独自性ととらえ、幾重にも循環していく関係性を生み出すことを目的としたプロジェクトです。2019年に神戸市長田区で劇場を運営するNPO法人DANCE BOXにより始動しました。舞台芸術を軸に、誰もが豊かに暮らし、芸術文化を楽しみ、表現に向かい合うことのできる社会をめざす、多角的な芸術文化創造活動です。

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