村川拓也演出の舞台作品『Pamilya (パミリヤ)』。『Pamilya (パミリヤ)』はタガログ語で「家族」の意味。舞台上に、実際に介護士として働く女性が登場し、福祉施設の様子が舞台上で再現されます。この作品をめぐって、演劇やダンスの実践者、新長田で高齢者介護に関わる方々をお招きし、「ドキュメンタリー演劇」「ケア」「家族」にまつわるクロストークを行います。
介護福祉士候補生としてフィリピンから来日し、介護士として働く女性と、公演の当日に観客席から選ばれ、介助される役を任される女性。ベッドから車椅子への移乗、食事介助、入浴介助、健康維持のためのラジオ体操にレクリエーションのカラオケタイムなど、二人の女性が舞台上で繰り広げるのは、淡々とした介護施設での日常の風景だった。介助する側と介助される側という、仕事でありながら「他人」や「お客様」とは割り切れない関係性を、演劇の手法を用いて舞台上に鮮やかに浮かび上がらせ、現代の日本が抱える様々な問題を想起させる。
『Pamilya (パミリヤ)』記録映像上映
14:00-15:10 上映 定員:20名
※会場:ArtTheater dB KOBE(神戸市長田区久保町6丁目1番 アスタくにづか4番館4階)
※会場にご来場されにくい方には事前に映像リンクをお送りします。
15:20-17:00 トーク 定員:20名
※ライブ配信を行います
トーク出演:村川拓也、長津結一郎、永田智子、廣田恭佑、中間アヤカ、文
音響:西川文章
配信:パルテック
カメラ:Sakazuki Production(池田浩基、阪下滉成)
村川拓也
演出家、映像作家。映像、演劇、美術など複数の分野を横断しつつ、ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を発表する。介護する/される関係を舞台上で再現する『ツァイトゲーバー』(2011)は、国内外で上演を重ねている。近作『Pamilya(パミリヤ)』をキビるフェス2020にて上演。2014-2019年度セゾン文化財団ジュニア・フェロー、京都芸術大学舞台芸術学科、映像学科非常勤講師。
長津結一郎
研究者(文化政策、アーツ・マネジメント)。障害のある人などの多様な背景を持つ人々の表現活動に着目した研究に携わる。近年はおもに舞台芸術分野のワークショップや作品創作プロセスへのフィールドワークに関する理論構築や社会実装を試みる。九州大学大学院芸術工学研究院助教。博士(学術・東京藝術大学)。著書に『舞台の上の障害者:境界から生まれる表現』(九州大学出版会、2018 年)など。
中間アヤカ
1992年生まれ、ダンサー。Rambert School of Ballet and Contemporary Dance(ロンドン)を卒業後、「国内ダンス留学@神戸」1期に奨学生として参加、ダンサー奨励賞受賞。近年では黒沢美香、木村玲奈、contact Gonzo、チェルフィッチュ等の作品に出演する傍ら、自身の作品制作も行う。2018年度よりDANCE BOXアソシエイト・アーティスト。
廣田恭佑
株式会社PLAST代表取締役。大正筋商店街理事・デザイン企画部長。神戸学院女子駅伝競走部トレーニングコーチ。理学療法士。医療福祉の分野から健康や生きがいづくりをテーマにデイサービス、予防リハビリ施設、保育園、チョコレート店など多店舗展開をしています。
永田智子
1980年生まれ。明石出身。趣味は料理。大正筋商店街の中にある「新長田あんしんすこやかセンター」で地域支え合い推進員として勤務。日々、高齢者福祉に奔走している。
▼MISCH MASCH Festival ダイジェスト映像
障がいの有無、経済環境や家庭環境、国籍、性別など、一人一人の差異を優劣という物差しではなく独自性ととらえ、幾重にも循環していく関係性を生み出すことを目的としたプロジェクトです。2019年に神戸市長田区で劇場を運営するNPO法人DANCE BOXにより始動しました。舞台芸術を軸に、誰もが豊かに暮らし、芸術文化を楽しみ、表現に向かい合うことのできる社会をめざす、多角的な芸術文化創造活動です。