オープニング・パフォーマンスとして、新長田を拠点に活動する、さまざまな属性の人たちからなる「新長田アートマフィアダンス部」が登場。リアルなマフィア顔負けのコワモテぶりを見せつつ、迫力あるステージを熱演。話を聞くだけのつもりで集まっていた観客の度肝をぬくとともに、この場所が劇場であることを再確認。しっかりと場を温めてのスタートとなった。
登壇:中元俊介(エコールKOBE)、吉川史浩(Water Ground Mountain)、川本尚美(片山工房)、小國陽佑(芸法)
進行:文(DANCE BOX)
第1部から第4部までのミーティングでは、十分には機能はしなかったものの、話された言葉を音声認識して表示するUDトークを使って、対談の内容がその場で舞台上に投影された。また、新長田アートマフィアのメンバーによって、ミーティングで話されたトピック、キーワードがその場で収拾された。
抽出されたキーワード:
・障がい者とアート/アート×障がいは相性が良い?
・アートは同じ土俵で活動できる
・アートは人と違うことが高評価
・障がいのあるないは活動の次の話
・社会のルールが障がいを生んでいる
・アートを見た時の感動は非日常
・アートを通じて生活環境をどうしていくか
・人生の楽しみにアートがある、それはみんな共通
・頭でっかちに障がい者という視点があったがそうではない
・片山工房に行ってみたくて一人で電車に乗ってみた
・全員が一緒にならなくてよい、時間軸をずらししてできることをやる
・近づきすぎない協働 長田らしさ
・長田の寛容さが良い。「決まったら呼んで」
・補い合っていくのが長田らしさ/人情のまち
・距離感が近い、身体的感覚も近い(路地のある町)
・人と人が関わることが大事
・人が軸の活動
・障がい者と健常者を繋いでくれるコーディネーター、ありがたい
登壇:野上恵美(ベトナム夢KOBE)、パク ウォン&趙恵美(スタジオ・長田教坊)、キム シニョン(神戸コリア教育文化センター)、ファン・チォン・クォン(VIAN)、近藤美佳(ベトナム語通訳)
進行:角野史和(ことデザイン)
抽出されたキーワード:
・日本の宿題をベトナム語で教える
・ベトナム人はカラオケ大好き/手軽にできる娯楽、カラオケ
・母語(ベトナム語)が話せない、ルーツを大切にしてほしい
・在日コリアンの歴史は長い
・在日コリアンの課題 母語、アイデンティティを忘れていってしまう
・地域の小さな歴史 掘り起こしていきたい
・在日ベトナム人コミュニティの支援
・ベトナム人のための団体だが日本人とのコミュニティ作りが大切な目的
・ベトナム人 SNSをよく使う
・教坊(きょばん) 宮廷音楽を学ぶ場
・ベトナム、コリアン 共通するものは戦争の経験
・多文化共生とは 忍耐の政治
・過去からアイデンティティを学ぶ
・日本人のマジョリティをどれだけ分配していけるか
・長田の心地よさ、ずっと続くものではない
・無言の圧力はきっとある
・意識しないと多文化は見えてこない もう少し踏み込んでいく
・共生 いろんな傷をなであえる
・次の光をどう手に入れるか
登壇:首藤義敬(はっぴーの家ろっけん)、大谷紘一郎(株式会社PLAST)、永田智子(新長田あんしんすこやかセンター)、遠藤順二(サービス付き高齢者住宅「やっぱりここ」)
進行:渡辺祥弘(K+action)
抽出されたキーワード:
・喫茶ノリ☆ノリ 高齢者施設の交流の場
・書道を入居者に教えてもらう
・障がいのある子を預かる
・障がいを持った子の保護者は手が離せない
・65歳以上の相談はあんしんすこやかセンターへ
・お節介焼きのまち
・近くの親戚より遠くの他人
・境界の民 よい意味で境界線を残している
・未来の共生への課題
・高齢化率が高いまち 高齢者がいきいきとすればまちは良くなる
・医療、福祉…デザインがダサい アートでかっこよく
・実際は、人とつながりたくない人はいない あきらめず接し続ける
・どんどん孤立の社会になっていく そうならない活動を続けていきたい
・選択の多いまち 興味のタネがたくさんある
・共生=ごちゃまぜ そこからヒントがある
・個人としての関係を多く築いていくことが共生
登壇:小笠原舞(こどもみらい探求社)、近藤美佳(真陽小学校ホアマイ教室)、尻池宏典(ふたば食堂)
進行:西崎宣弘(アグロガーデン)
抽出されたキーワード:
・子育て目線での新長田
・誰の子かわからない子育て環境
・家の前の道路が庭、公園 近所の人が見守ってくれる
・良い距離感とは
・ネガティブなことも言いあえる 大人が自分らしくいれる
・真陽小学校 お互いの特性を知る温かい場所
・昔の長田 外から入る人は居づらい場 コミュニティができあがってしまっていた
・震災によって濃すぎるまちが薄まった そこに新しい関係が生まれた
・震災はベトナム人コミュニティにとっても大きな転機
・アート、介護で注目されているが、教育の現場としての可能性がある
・長田の強み 人として育つ 学力ではない
・親子で通訳が必要な家庭もある
・できなくてもいい寛容性 その土壌が長田にある
登壇:増田匡(長田区長)、芹沢高志(デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長)
進行:大谷燠(DANCE BOX)
第4部が終わった後、3人が舞台に上がってそれぞれに1日を振り返った。豊かさの基準が変わっていくこれからの時代、長田のありようが未来のモデルのひとつになるのではという期待とともに、カオスを退けるのではなく、カオスを生み出す社会の必要性が語られた。
最後は約4時間におよぶミーティングを伴走した客席での集合写真で〆.
障がいの有無、経済環境や家庭環境、国籍、性別など、一人一人の差異を優劣という物差しではなく独自性ととらえ、幾重にも循環していく関係性を生み出すことを目的としたプロジェクトです。2019年に神戸市長田区で劇場を運営するNPO法人DANCE BOXにより始動しました。舞台芸術を軸に、誰もが豊かに暮らし、芸術文化を楽しみ、表現に向かい合うことのできる社会をめざす、多角的な芸術文化創造活動です。